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2019年12月07日

「10年後、君に仕事はあるのか?」に学ぶキャリア戦術

親世代の人生モデルが通用しない新時代を、新しいキャリア戦術で賢く生き抜け

 ども勉三です。今回は「10年後、君に仕事はあるのか?」(藤原 和博 著、ダイアモンド社)についてのレビューです。

 著者の藤原氏はリクルートから中学校校長に転身した異色の経歴の持ち主。講演、セミナーなども多数開催されており、記事やコラムにも多数寄稿されているのでご存知の方も多いかもしれません。

 この本もタイトルから分かるように、主にこれから大人になる高校生〜大学生ぐらいをターゲットに語りかけるという形で書かれていますが、既に社会人になってしまった(勉三含む)おじさん、おばさんでも十分にためになる内容になっています。

これからの時代は今までの人生モデルが通用しない

 まず初めに、「君たちが社会人になる2020年代の半ばには、多くの親が体験した『標準的な人生モデル』は追及できないということ」と、これまでとこれからの違いを説いています。

 君たちは親と違う人生を歩むというけれど、どこが決定的に違うのか?

 大きく3点あります。ものすごく大きな違いがね。

 1つめは、君たちが社会人になる2020年代の半ばには、多くの親が体験した「標準的な人生モデル」は追及できないということ。

 会社では正社員になれないかもしれないし、大手企業に入社したとしても一生そこで働くのは珍しくなるでしょう。新卒の一括採用が残っているかどうかさえ怪しい。結婚して子育てし、マイホームを持つかどうかもわかりませんよね。だから、親の人生モデルを前提として君たちに説教しても通じない。

 このあたり、有名なリンダ・グラットンの「ライフシフト」とも通じる内容なのですが、本書ではより日本人に分かりやすいように世代ごとの人生モデルを、明治時代を生きた世代の「坂の上の雲型」、昭和・平成を生きる世代の「富士山型一山主義」、そして君たちの世代として「八ヶ岳型連峰主義」と名付けて3タイプに分類しています。

 つまり、これまでのように大学を出たら、定年まで同じ会社で働き続け、引退して余生を過ごすという生き方は、人生100年時代には難しくなるし、現実的でもないということです。このパラダイムシフトをどう乗り越えるかが本書のテーマです。

情報処理力と情報編集力

 著者はこれから必要になる力として、これまでの「情報処理力」ではなく「情報編集力」が大事になると説いています。若干言葉の使い方が独特なので分かりにくいかもしれませんが、要は情報処理力というのは正解の分かっている問いを素早く解くスキルであり、情報編集力というのは正解の決まっていない問いをいかに解くかのスキルと理解すればよいと思います。以下に同書から引用させて頂きます。

 情報処理力とは、狭い意味の「基礎学力」のことです。

 計算の方法や漢字の書き取りなど、たくさんのことを覚え、それを思い出せるかどうか。記憶力の勝負になりますね。また、一見複雑な問題でも、それを読み解いて、なるべく早く、正確に「正解」を導けるかどうか。チャッチャと1人で、早く正確に処理できる力だから情報処理力と呼んでいます。

 通常、これは学校の勉強や塾のトレーニングで鍛えられます。中学でも、高校でも、大学でも、受験を経ることで情報処理力は飛躍的に上がることがありますが、試験が終わるととたんに落ちてしまうという特性もあります。

 一方、情報編集力は、正解がないか、正解が1つではない問題を解決する力です。広い意味の「学力」に含めてもいいのですが、正解を早く正確に当てる情報処理力と対比するために、右側に置きました(筆注:同書掲載の図上での話)。

 同書が説く「情報編集力」はまさに現代の知的労働者の必須スキルとも言うべきものです。これは勉三の持論になりますが、社会における仕事には2つあると思っています。1つは既存の業務を定められたプロセスに従って回す「ルーチン」。もう1つはこれまで行っていなかったことを新たに行う「開拓」です。

 そして、いわゆる上位の難関大を出て大企業や官公庁に就職する人は、その多くが企業の中でも開拓の仕事に就くと思います。これは例えば、研究開発、新規事業立ち上げ、新規販売チャネル確立、M&A、戦略的提携などを含みます。これらの非ルーチン的な仕事では正解がないため、同書でいうところの情報編集力が問われることになります。

 一方でルーチン的な仕事はどんどん外注化や海外移転でコスト削減を図っていく方向に働きますから、情報処理力だけでルーチンワークを行うだけでは今後食べていくことができなくなります。

キャリアの掛け算で100万分の1の存在に

 もう1つ、著者が本書を含め色々な場で提唱しているのが「キャリアの掛け算」です。勉三も本ブログで過去に「スキルは掛け算で考えろ!おすすめは英語とプログラミング!」として取り上げています。

 これは1つの強みだけでトップの人材になるのは大変なので、複数の強みを掛け合わせて合わせ技でレア人材になろうという考えです。本書の説明を引用したいと思います。

 では、どうやって自分自身を稀少性のあるレアな存在に持っていくか?

 これも、はじめに結論を言います。

 3つのキャリアを5年から10年ずつ経験して、その掛け算で希少性を獲得し、100万人に1人の存在になりましょう。

 100万人に1人はオリンピックのメダリスト級のレアさだし、同世代でたった1人の存在になれるから、「雇われる力」が飛躍的に高まり、必ず稼げる大人になれます。

 まず、ある分野で集中して仕事をして、100人に1人の稀少性を確保しましょう。

 次に、違う分野で仕事をして100人に1人の稀少性を確保できれば、もう掛け算すれば1万人に1人の稀少性を確保できたことになります。

 大ざっぱなイメージとしては、20代で100人に1人に、30代でもう100人に1人を達成して、1万人に1人というペースです。

 ここまできたら、あと1つの分野で仕事をして100人に1人の稀少性を達成すれば、100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1の希少性が実現します。

 これはもう、オリンピックのメダリスト級のレアさになります(実際、1人のアスリートが一般的には3大会に出場可能として、3大会のメダルの総数を全就業者数で割ってみると、その確率が100万分の1近くになります)。

 この点、まさに勉三はこのキャリアの掛け算を地で行っており、はじめに勤めたメーカーの「業界」という第一の軸、さらには「人工知能の研究者」という第二の軸、そしてその後転職した「戦略コンサル」という第三の軸を既に達成しており、おかげでこのうち2つないし3つの軸が交わる領域の仕事があれば、社内でもまず真っ先にお声がかかる状況になっています。

 勉三含めて日本人の心の奥底には「この道一筋何十年」というのに対する憧れがあり、どうしても多くの人は単線型のキャリアを追い求めてしまいがちなのですが、単線型で希少人材になるのは非常に難しいですし、その分野が下火になってしまうと一気にあおりを食らって稼ぎづらくなってしまいます。

 また、現在のイノベーションは iPhone などのように複数分野の掛け合わせで生まれることが多く、単線型の専門性を極限まで高める日本のこれまでのやり方は通用しづらくなってきています。ですので、これからの時代には複線型キャリアで、キャリアの掛け算をすることを強くお薦めします。

最後に

 いかがでしたでしょうか。いくつか書籍から引用させて頂きましたが、いずれも非常に平易な語り口で読みやすいということが分かって頂けたかと思います。おすすめの一冊ですので、今後どういう仕事に就くかや、どう人生を生きていけばいいか悩んでいる、全ての方々に推薦します。

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posted by 勉三 at 23:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評
2019年12月05日

「味の素、50歳以上管理職800人対象リストラ」の正しい解釈

知らないと分からない大企業の「管理職」の意味

 味の素が50歳以上の管理職を対象に早期退職を募集したことで話題になっています(記事)。下記は記事からの抜粋です。

 味の素は先月、「黒字だからこそ、厳しい事業環境を勝ち抜くために変化・構造改革を着実に進めていく必要がある」として、50歳以上の管理職約800名を対象に希望退職者を募集することを明らかにした。人数は100名程度(応募が超過でも受け入れる見通し)で、「特別加算金」を上乗せした退職金を支給し、再就職も支援するという。

 さて、ここで注目を浴びているのが「50歳以上の管理職約800人」の意味。味の素は単体の従業員数が3500名程度ですから、管理職800人というのはざっと4〜5人に1人が管理職ということです。

 これ、内資の大企業で働いたことが無い人にとっては衝撃のようですが、ちゃんとカラクリがあります。管理職といっても部下を持たない名前だけの管理職が沢山いるのです。このあたり、日本の大企業勤めの経験があるなら割と常識なのですが、そうでない方は知らないようですので今回解説します。

内資の大企業では名前だけの管理職が沢山いる

 一般には、管理職というと、部署の責任者で、自分にレポートする部下が数名から十数名いるような、課長と呼ばれるようなポジションより上を思い浮かべるかと思います(ここではこのような本来の管理職をラインマネージャーと呼ぶことにします)。ですが、大企業での管理職というのはもう少し広い括りであり、部下の有無にかかわらず一定の職位以上の社員を指して使われることが多いです(これを名目上の管理職と呼びましょう)。

 名目上の管理職とそれ以外の社員の違いは、一番大きいのは労働組合への加入です。名目上の管理職は労使関係でいうと労ではなく使の側になるので、仮に部下が1人もいなくて誰も使用しないとしても使の側になります。また、給与体系も区別されており、一般社員よりも裁量性が高くなっていることが多いです。

 一般に、内資の大企業で出世するには、まずこの名目上の管理職になり、そこから一部の人だけが課長などのラインマネージャーになります。ラインマネージャーには椅子の数に限りがありますが、名目上の管理職は基本的に無制限なので、大きな問題がなければ年功序列で殆どの人が昇進できます。

 要は、味の素のケースもこういった名目上の管理職を含めて「800人以上」と言っているのであって、皆が想像するようなラインマネージャーが800人もいるわけではありません。

名前だけの管理職は管理職ではない!

 さて、このように内資の大企業では、ラインマネージャーになっていないのに管理職になった気分になれるわけですが、これは外の世界では通用しません。管理職というのはあくまでラインマネージャーのことで、40を過ぎて名前だけの管理職というのは、厳しい言い方をすれば窓際族もしくはその候補生ということになります。

 このことをきちんと意識してキャリアプランを設計しないと、自分は管理職だと思っていたのに、外では全く評価されないという悲しい事態になってしまいます。

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posted by 勉三 at 20:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
2019年12月04日

VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件

VUCAの時代にしたたかに生き抜け

 ども勉三です。「VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件」(柴田彰 著、日本経済新聞出版社)が面白かったので、久しぶりにレビューです。

VUCAとは

 VUCA(ブーカ)という言葉を聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますが、これは Volatility(変変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧さ)の4つの英単語の頭文字をつなげた用語で、流動的で先が読めない現在の世の中の特徴を表したものになります。

 振り返ってみると、高度成長期には工業製品を安く大量に生産することに重点が置かれました。企業間の競争はもちろんありますが、目指す方向性は明確だったのです。また、継続的に成長しつづけることが当たり前だったため、終身雇用や年功序列といった慣習もうまく機能していました。

 ところが、VUCAの時代になると、そもそも「どういった製品やサービスを提供すればいいか」を解明するところから始めることになります。これまで勝ち組とされてきた企業も、新しいテクノロジーについていけず、会社が長期的に成長しつづけることは当たり前とは言えなくなりました。終身雇用や年功序列も瓦解し始め、我々一人一人が会社に依存しない生き方を考える必要がでてきたのです。

いまだ変われない日本の企業

 本書では日本の会社の生産性の低さがまず取り上げられています。例として、2人の社員がいて、1人は「会社のいう事を聞き、地道な営業をし、小粒案件を積み重ねて目標達成した場合」、もう1人は「自分のやり方で業績を上げ、大型案件の受注に成功した場合」のケースを挙げ、仮に2人が同じ営業成績を上げた場合には、前者の会社に忠実なタイプが出世しがちであるとしています。

 これはまさしくその通りで、日本企業は業績よりもまずプロセスなんですよね。勉三も内資のメーカーで働いていましたが、他の社員よりも効率よく仕事をし、定時より早く帰っていると注意されるんですよね。本来、仕事ができていれば、何時間働こうと、どこで働こうと関係ないはずです。

 現在、外資系コンサルティングファームで働いており、日本とアメリカで合同チームを作って一緒にプロジェクトに携わるということも多いのですが、日本人チームとアメリカ人チームを見てると、コンサルという進んだ業界であっても日本人はまだまだ「長時間労働」の呪縛から抜け切れていないと感じます。

 アメリカ人はとにかく仕事の効率がいいです。打ち合わせだけしたら、あとは適当に解散して各自でやるのです。一方で日本人は同じ部屋に集まって一緒に作業するため、どうしても皆が終わるまで帰れず長時間労働になってしまいます。

キャリアは会社任せではいけない

 本書で一番響いたのが、キャリアは会社任せではいけないということです。その一節を引用して紹介したいと思います。

 従来は、大手企業に総合職として入社すれば「勝ち組」とされていましたが、それも幻想となりつつあります。いかに大手企業であっても、先行きの見えないVUCAの時代では、ささいなきっかけで企業の存続そのものが危ぶまれることも珍しくありません。私たちビジネスパーソンにとって「会社任せのキャリア」から脱却し、いつでも労働市場で戦える能力を身につけることが現代のリスクマネジメントと言えるでしょう。

 「会社任せのキャリア」を脱却するためには、定年まで一つの会社に仕えていくという考えを捨て、企業は自分のキャリアを輝かせるための舞台の一つと捉え、うまく活用していく発想が必要です。大手企業には、他企業にない職務経験を積む機会が多くあるのは事実です。「大手企業に入社したこと」ではなく「大手企業でしかできない経験をしたこと」があなたの市場価値を大いに高めます。

 勉三が大企業勤めのサラリーマンのキャリア観に違和感を感じるのは、殆どの人が「会社の中でどう生きていくか」しか考えていないことです。しかし会社というのは、あくまでキャリアの1つの手段でしかなく、むしろ転職なり起業なりも選択肢として考えなければ手落ちと言えます。

 最近は、人事部が世話をやいて、社員のキャリアプラン作成を研修で指導したり、「10年後の私はどうなっていたいか」みたいなことを書かせたりしていますが、これもはっきり言っておかしいです。そこに「5年後までに社費でMBA留学し、10年後は転職して年収アップ」みたいなことが書けないからです。もしキャリアプランが同じ会社にいるという前提でしか作れないのであれば、それは正しいキャリアプランではありません。

最後に

 この他、本書では「これからの時代に成長する人の7つの条件」として、「学びのアジリティ」「修羅場経験の幅」「客観的認識力」「パターン認識力」「リーダーの役割を担う内発的動機」「リーダーに適した性格特性」「自滅リスクを回避する力」を挙げています。詳しくは同書を読んで頂ければと思いますが、これまでの時代とは少し異なるスキルセットがVUCAの時代には求められるのだと思いました。

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posted by 勉三 at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評