英語なんてできなくても通訳を雇えばいい!?
ども勉三です。英語学習に対するニーズが高まる一方で、依然として英語アレルギーも根強く感じられます。色んな人が英語を勉強しない言い訳を考えていて感心することもあるのですが、たまにいるのが「英語なんてできなくても通訳を雇えばいい」とかのたまっている人。
今回はこのような説を唱える人がどれだけ世間知らずかを説明します。
そもそも通訳って手配するのも大変
勉三は仕事柄、同時通訳の方を手配することがたまにあります。クライアントに英語を全然話せない人がいたりする時ですね。
しかし通訳というのは頼んですぐに来てくれるとは限りません。例えば急に明日会議が設定されて、通訳を手配できるかといったら、難しいでしょう。ましてその日の内なんて無理。通訳もお仕事ですから、依頼して来てくれるまでには最低でも数日間のリードタイムが必要です。目まぐるしく状況が変わる日々の業務に通訳で即応するというのは不可能です。
また、通訳だったら来た瞬間からどんな内容でも同時翻訳してくれると思っている人がいますが、これもありえません。通訳といっても話される内容の分野により大きく影響を受けます。勉三の実経験ですが、業者に頼んで通訳に来られた方がその分野のことを全く知らず、殆ど通訳できなかったという事もありました。
じゃあその分野に詳しい通訳を手配すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、その時点でかなり人数は限られてしまい、コストが高くなるか、人がいなくて空きがないかになりがちです。また、専門がますます細分化されていくご時世ですから、例えば医学専門の通訳といっても、少し込み入った専門的な話になると全く訳せなかったりします。
そのため、通訳を手配する際には通常、どういった分野の会議か細かく聞かれ、資料などがある場合には少なくとも24時間前には事前の共有を求められるのが普通です。そのため会議直前に資料が完成するのが常のコンサル業界では、よく通訳から苦情を受けます(笑)これからしても日々の業務で通訳に頼るのは難しいのが分かるでしょう。
同時通訳はとっても負荷がかかる
「英語ができなくても通訳を雇えばいい」と思っている人は、同時通訳にはとてつもなく負荷がかかることも知らないのでしょう。通訳を手配した際には、その人の実力や専門性にもよりますが、連続してできるのは15分から30分ぐらいが限界となります。
通訳のいる国際会議などに出られたことのある方は見たことがあるかもしれませんが、長い会議だと通訳の方が2人〜4人がペアになって参加します。1人が先に担当し、15分経ったら交代です。なので通訳の方は常に時計を机の上に置かれています。
1時間の会議であれば最低でも2名の通訳が必要です。通訳の費用はピンキリですが、業務に使えるまともなレベルの方ですと、1日1人あたり5万円はかかります。英語ができないあなたのために2人分を1日10万円出して雇うのでしょうか? 大臣や取締役クラスであれば別ですが普通のサラリーマンではありえないでしょう。
たまに「通訳なんだから予習もなしで何時間だろうとできて当然だ」みたいに思っている人がいますが、通訳の方からは思いっきり嫌われてしまうので要注意です。
通訳ありだと会議の生産性は大きく落ちる
そして最も問題なのは、通訳を入れずに全員が直接やりとりする場合と比べると、通訳を入れる場合に会議の生産性が大きく落ちることです。決して生産性を保ったまま会議が多言語化できるわけではないのです。
まず、通訳をするということは、会議の時間がそれだけ伸びるということです。細かいレスポンスの続く会話ですと、単純計算で2倍時間がかかることになります。従って会議で話せる内容は通常の半分になってしまうわけです。
また、通訳の方に十分に実力を発揮していただくためには、話す側も翻訳しやすい文章で話す必要があります。ここも通常の会議通りにはいきません。しかし、そういった注意点があっても、みんな自分が話をしだすと忘れてしまうもので、そうなると通訳がうまくできず、通訳を聞いている人たちが議論についていけず不満になるということが良くあります。
最後に
いかがでしたでしょうか。「英語ができなくても通訳を雇えばいい」なんてのが、いかに絵空事か分かるかと思います。通訳が有効なのは、(1) あらかじめ日程、進行、話題などが決まっている会議やイベント (2) それほど専門的な話題ではない(専門的な話題の場合は24時間前までの資料共有が必須)(3) 質の良い通訳の確保のために多くのお金をかけられる といった条件を満たしていることが前提条件です。
そのため、大きい国際会議や国際学会などでは有効であるものの、日々の業務で通訳に頼るというのは、小回りがきかず、コストもかかるため現実的ではありません。
それでも、あなたが経営者や大臣であれば良いのかもしれませんが、普通の人はそこに行き着くまでは通訳なしで勝負する必要があるでしょう。
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