リストラに過度に怯えると損
ども勉三です。大企業で早期退職募集(リストラ)の報道がある度に、ネット上では「大企業でも安泰じゃない」といった書き込みがよく見られます。
でも本当にそうでしょうか? はっきり言って日本の大企業の早期退職プログラムは相当恵まれている方です。早期退職に応募して退職金が年収2年分以上上乗せとか、海外の人に話すとまずびっくりされます(但し欧米でもフランスのように労働者の権利保護が強い国もある)。
また、リストラというと暗鬱なイメージで考えがちですが、会社の外でも通用する人にとっては渡りに船だったりします。勉三は以前は日系のメーカーで研究職をしており、早期退職ではなく自己都合で転職したのですが、仮に早期退職のタイミングに合わせて転職していれば退職金の額は数百万は違っていたと思います。実際、過去の早期退職募集時には元管理職クラスの人たちが早期退職を利用して大学や他の会社に転職していくというのを何人も見かけました。
それに、リストラといってもほとんどの人は会社に残るわけです。それを持ってまるで世界の終わりであるかのように外部から思われるのは、何か違うんじゃないかなと昔から思っていました。
リストラはそもそも悪いものではない
また、リストラの話があるとネット上では「経営者が先に辞めるべき」とか「競争力が低下する」といった批判の書き込みもよく目にします。気持ちは分かりますが、これらは的外れな批判です。
どれだけ経営者がバカだろうと、お金を出して従業員を雇っているのは会社側であり、その逆ではありません。お金を出している側が判断するのは当然のことです。経営者が先にやめるべきかどうかを判断するのは、(株式会社の場合)出資者及びそれに委任された取締役であって、従業員側ではありません。日本では従業員が会社という家族の一員であるかのように扱う文化があり錯覚しがちですが、従業員はどちらかといえばお手伝いさんのようなものです。
無論、解雇はしないにこしたことはありませんが、個々人が仕事に責任を持ち、イノベーションを促進し、社会の流動性を高めるためには必要なことなのです。解雇は労働者にとって悪いことばかりではありません。日本のように解雇が難しい社会だと、正社員採用のハードルが上がり、しかも正社員であることが既得権益化してしまうことで、いったんレールから外れた人は大きく損をしてしまうという現象が起こります。
リストラが悲惨なものになるかは備え次第
とはいえ、リストラを渡りに船として他へ移っていく人だけでは無いのも事実です。急に解雇されてしまった人の苦しみは察するに余りあります。
個人的な話をすると、勉三が物心ついた頃はすでにバブルの終わりの頃で、その後の山一証券や拓殖銀行の破綻などの報道を見て多感な時期を過ごしました。特に記憶に残っているのは「ローンも残っているし、子供もいるんだぞ!」といったことを従業員が経営者に訴えているシーンです。それを見て勉三は会社に依存するような生き方は辞めたいと子供ながらに思いました。
上で挙げた従業員の訴えも確かに共感できるのですが、とはいえ民間というのは結局のところ商売なわけです。民間で働くというのは直接自分たちで営業しなくとも商売の一部を行っているわけです。自社のものが売れなくなれば会社は潰れます。それが商売です。
ローンを組むな、子作りをするなと言うわけではありません。しかし、定年まで何十年も今と同等以上の収入が会社の仕事をこなすだけで入ってくると想定するのは、誤解を恐れずにいえば少し平和ボケしすぎだと思います。
民間で働くからには、常に自分のスキルを磨き、市場価値を高め、今の会社をいつでも辞められるような臨戦態勢でいておくべきです。そうすれば、早期退職募集のお知らせなどはむしろ「待ってました」という気持ちになるでしょう。
リスクとうまく付き合おう
また、日本人には少しでもリスクがあると嫌という人が多い気がします。例えば10%はついていけずに辞める場合、「90%も辞めずに済むんだ」と思うことも可能だと思いますが、「10%も辞めるんだ。怖い」となるのです。
しかしガチガチに固めすぎるとそれはそれで損することも多いです。これは投資とよく似ています。元本割れを嫌って日本国債ばかり買っててもリターンは非常に低いです。株式投資でもインデックス投資なら長期的に見ればかなり安全でリターンも期待できるのですが、リスクがあると拒否反応を示す人が多いです。
有名な格言に「スプーン1杯のリスクを取る」と言うものがあります。リスクは高すぎても怖いですが、逆に絶対安全を求めすぎると本来得られたリターンよりかなり低くなってしまうのです。一番いいのはスプーン1杯だけ、すなわち少しのリスクを許容することなのです。
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