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2020年05月03日

抗体検査で既に人口の数パーセントが感染済みは本当なのか?

抗体検査の結果を考える際は注意が必要

 ども勉三です。コロナウィルスに関する最近の話題として、「無症状者を抗体検査したら数パーセントが感染していたので、既に人口の数パーセントに感染が広まっているのでは?」というものがあります。例えば、こちらの慶應義塾大学病院の発表とか、神戸市立医療センター中央市民病院の発表などがそうです。

 しかし、この結果をそのまま鵜呑みにするのは危険です。その理由を今回は説明したいと思います。なお、感度や特異度などに関する説明は、過去記事「論理的思考力講座(5):感度・特異度・正確度(1)」をご覧ください。

偽陽性率と同等あるいはそれ以下の陽性率のデータに意味があるのか?

 検査系の性能を比較する時には色々な指標がありますが、最も大事なのは「感度」と「特異度」です。感度というのは「本当に陽性の人を、正しく陽性と判定できる確率」。特異度というのは「本当に陰性の人を、正しく陰性と判定できる確率」のことです。

 例えば、感度90%であれば、陽性の人を検査すれば90%で陽性と判定できます。逆にいえば、10%は偽陰性になってしまうということです。同様に、特異度90%であれば、陰性の人を検査すれば90%で陰性と判定でき、10%は偽陽性になってしまいます。

 上の例からも分かるように、100-感度(%) により「偽陰性率」が、100-特異度(%) により「偽陽性率」が求まります。さて、本題はここからです。

 一般に、PCR検査に比べて抗体検査では特異度が低くなりがちです。つまり、偽陽性が高くなるということです。理由は色々あるのですが、PCR検査が核酸の塩基配列の1つの違いをも見分けられるのに対し、抗体は蛋白質であり三次元的であり、1つの抗体を認識する別の抗体もまた無数にあり得るためです。

 一般的には、どれほど優秀な抗体検査キットであっても、特異度は90〜95%というところだと思います。つまり、仮に全人口で新型コロナへの抗体を持っている人がいなかったとしても、検査してみると5〜10%程度は偽陽性になってしまうということです。

 ですから、そんな検査で数パーセント程度の陽性が出たことに、どれだけの科学的意義があるのでしょうか。かなり慎重に考える必要があると思います。

抗体検査は使用前に、製品ごとの徹底的な精度検証が必要

 このように、抗体検査は少量の血液採取で短時間で測定できるというメリットがあるのですが、その精度についてきちんと検証を行った上で使わないと、誤った結論を導きかねないというリスクがあります。

 プローブのデザインさえ統一されればメーカーによって精度が大きく変わることはないPCR検査と異なり、抗体検査は製品によって精度が大きく変わります。それどころか、同じ製品であってもロットが違うだけで、精度が変わるケースだってあります。

 精度検証する際には、陽性対照(ポジティブコントロール、略してポジコン)と陰性対照(ネガティブコントロール、略してネガコン)の設定が重要になります。ポジコンは「陽性であることが分かっているサンプル」、ネガコンは「陰性であることが分かっているサンプル」ということです。これらを何十個か集めてきて検査することで、感度と特異度を求めるわけです。

 しかし、難しいのはポジコンやネガコンの設定は一通りではないということです。例えば、精製水はネガコンの条件を満たしますが、良いネガコンではありません。何故なら、例えば新型コロナウィルス以外のウィルスへの抗体に対して反応してしまうキットがあったとして、精製水をネガコンとして特異度を検証したとしたら特異度は100%になってしまうからです。これは厳密な特異度とは言えません。

 理想的なネガコンは、新型コロナウィルスに近い構造を持つ他のコロナウィルスに感染済みで、かつ、新型コロナウィルスには感染したことのない人を探してきて、そういった人の血液サンプルを使うことです。こうすることで、厳密な意味での特異度を求めることができます。

 しかし、現実的にはこのような理想的なネガコンを集めてくることは不可能に近いです。まず、そもそも「新型コロナウィルスに感染したことのない」というのが検証不可能です。それを検証するためには、特異度が100%の抗体検査キットが必要であり、卵が先か鶏が先かのような議論になってしまいます。

 したがって、世の中に出回っている感度や特異度の数値というのは、定義によって差があり、いずれも厳密なものではないということは注意しておく必要があるでしょう。

恐らく実際の感染率はそこまでは高くない

 ここからは勉三個人の推論になってしまいますが、勉三は集団中の感染率は数パーセントには達していないと考えています。その根拠の1つとしてはダイアモンド・プリンセス号の調査データがあります。ダイアモンド・プリンセス号では、PCR検査で陽性と判定されたうち約25%はその後に至るまで全く症状が出なかったそうです。

 ここから考えると、感染者のうち有症状者と無症状者の比率は3:1ぐらいであり、有症状者の一部しか検査で陽性として補足できていないことを差し引いても、どんなに高めに見積もっても現在の検査陽性判明者の数倍ぐらいしかいないのではと考えています。

 もし、発表のように検査陽性判明者の何百倍もの無症状感染者がいたとしたら、(咳やくしゃみのない)無症状感染者の感染力もかなり高くないと辻褄が合わないわけですが、もしそうだとしたら感染はもっと爆発的に広まっているはずだと思います。

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posted by 勉三 at 23:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
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