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2020年03月14日

コロナウィルス蔓延を左右する4つのファクター

新型コロナウィルスの感染拡大速度を比較すると…

 ども勉三です。Financial Times が新型コロナウィルスに関して非常に興味深いグラフを掲載していたので、紹介したいと思います。

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 この図は縦軸に感染者数を対数で、横軸は100例目の感染者が報告された日を起点にそこからの日数を表し、各国の新型コロナウィルス感染拡大の速度をプロットしたものです。

 同じウィルスでもここまで国により感染拡大速度に差があるというのは驚きですね。無論、日本においては検査を抑制していることもあり、他国と同じ基準で検査していれば感染者数が増えるのは事実です。しかし、それを考慮してもヨーロッパにおける拡大速度は「別物」と思えるぐらいに速くなっています。

 今回はこの謎について、コロナウィルスの感染拡大を決める要因として4つのファクターが考えられるのではという仮説を述べていきたいと思います。

コロナウィルスの感染拡大速度を決定する4つのファクター

気温

 インフルエンザウィルスなどと同様に、新型コロナウィルスも多かれ少なかれ季節性があるものと考えられます。感染が拡大したのも冬場ですし、恐らく夏よりも冬の方が感染力は強いということは推測できそうです。

 当初、シンガポールでも感染が拡大したこともあり、今回のウィルスは高温多湿環境でも感染力が落ちないのではという説が提唱されていました。しかし、その後の経過を見ると、シンガポールでは封じ込めに成功しています。また、日本でも沖縄県では感染者の報告がしばらくストップしています。

 また、中国から比較的近いにも関わらず、東南アジアやインドなどでの感染はあまり拡大していないように思えます。無論、これらの国は発展途上国が多く、検査体制や統計の信頼性に問題がある可能性もあります。ただ、現時点で入手できるデータから判断すると、概ね熱帯国では感染拡大しにくいということは言えるのではないでしょうか。

接触機会の多さ

 欧米での急拡大を見ていると、やはりボディタッチによる感染拡大の影響は大きいと言わざるを得ないでしょう。私も米国に行く機会は多いですが、彼らは初めて会う時、あるいは久しぶりに会うたびにしょっちゅう握手をします。もっと親しくなればハグやキスもするでしょう。これは徹底的にボディタッチを避ける日本とは大きな違いです。

 「接触機会の多さというなら、日本の満員電車はどうなんだ?」と思われる方もいると思います。確かに感染者が多ければ満員電車は一気に感染が拡大しかねない危険な要因です。ただ、勉三も毎日電車に乗っているわけですが、今年は電車内で咳やくしゃみをする人が非常に少ないと感じています。今冬はコロナの印象で病気が蔓延しているイメージが強いですが、実際にはその逆で例年よりクリーンなのです。インフルエンザの件数が大きく減っていることもそれを裏付けています。

 ではなぜ、日本では最初に感染者を少なく押さえることができたのか。それを説明するのが、次の2つの要素です。

衛生観念

 以前より「日中韓などのアジアではマスクをする人が多いが、欧米でマスクをしていると病気と思われて不審がられる」と言われてきました。普段から日本のマスク着用率は欧米に比べ高かったですが、今年は東京都心を歩いていると50%〜80%ぐらいはマスクを着用していると思います。この差がやはり大きいのではと思います。

 マスクがどの程度感染症の防止に効果があるかは controversial なところがあり、感染者が着用した場合に感染拡大を抑制する効果は示されているものの、未感染者が着用した場合の感染予防効果については明確なエビデンスがないようです。

 ただ、エビデンスが無いことは効果がないのと同じではありません。正しく表現すれば「効果があるかどうか分からない」なのです。感染拡大を抑制するのであれば、マスクにウィルスをトラップする何らかの障壁機能があるということで、その障壁機能はウィルスを吐き出す時だけでなく、吸い込むときにも同様に抑制してくれると考えるのが自然でしょう。

 これは理系で研究経験がある人なら想像できるかと思いますが、「マスクに感染症防止効果があるか?」というのを実験で示すのは非常に大変なことです。何故なら何らかの形で「未感染者を感染させる」ことが実証に不可欠なステップとなるからです。大きな倫理的ハードルがあります。また、これは医学・疫学研究ではつきものですが、どうしても個人差があるため、検証対象の集団によっても結果がぶれたり、あるいは分散が大きすぎて実際に効果があっても統計学的有意差を示せない可能性もあります。

 いずれにせよ、「新型コロナウィルスはマスクで感染拡大を防止できるか」という問いについては、全くエビデンスが無く、推測で各自が判断するしかありませんが、勉三は100%ではなくともある程度の感染防止にはなり、それは感染者が着用しても、未感染者が着用しても、程度の差はある可能性はありますが同様に効果があると考えています。

 なお、たまに「ウィルス粒子は一般のサージカルマスクのフィルター径より小さいため意味がない」という人がいますが、これは大きく間違っています。ウィルス粒子は単体でぷかぷか空中を漂っている訳では無いからです。もしマスクのフィルターより個々の粒子が小さければ通過できないのであれば、水滴だって通りません。水分子はウィルスなんかより遥かに小さいわけですから。

 水滴がフィルターを通らないのは、水分子の間に相互作用があり互いに結合する力が働いているからです。ウィルスも水滴や他の塵などと相互作用し結合した形で存在するわけですから、単純にマスクの目の大きさと比較はできません。

 それに、相互作用しない非常に小さい分子であっても、フィルターを自由に通過するわけではありません。マスクをしながら息をしてみれば分かります。吐いた息はフィルター面を一部通過しますが、多くはマスクの側面から抜けていくでしょう。空気という非常に小さい粒子で構成される気体であっても、マスクのフィルターはある程度は止めてくれるのです。もちろん、粉塵や有害物が発生する現場での仕事用にはつかえませんが、ウィルスをある程度止めてくれることを期待する程度であれば有効です。

 もちろん、マスクだけでなく手洗いやうがいなどの習慣も、はっきりとしたデータはないですが差があるのかもしれませんが、マスクの着用率の差は視覚的に分かりやすいので紹介させて頂きました。

医療体制

 4つ目の要素は医療体制です。コロナウィルスの死亡率を見ていると、同じ感染者数でも国によって死亡率に大きな違いがあるようです。

 これは一見するとかなり不思議なことで、感染者数だけであれば先述の3要素で説明がつきますが、一度感染してしまえば死亡率は同程度になるだろうと予測するのが自然だからです。

 もちろん、最近報告されたようにウィルスにL型とS型のサブタイプがあって、日本で流行しているのと違う型のウィルスが欧米では蔓延しており、それにより死亡率が違うのだと考えることはできます。ただし、欧州でも国によって死亡率が全く異なることは説明が難しいです。

 そう考えた時、死亡率に大きな違いを生んでいるのは医療体制ではないでしょうか。すなわち、肺炎を発症した患者が速やかに十分な治療を受けられるかどうか。これが死亡率の差につながっているのではないかと思うのです。

 例えば、十分な治療が受けられるのであれば死亡率は0.1%だが、そうでなければ2%になるとしましょう。治療を受けられる人は死亡率0.1%ですが、そのキャパシティを超えた分は2%になるため、医療体制が崩壊し重傷者の治療に手が回らない国は、死亡率は0.1%を越えて2%に近づいていく、といったイメージです(あくまでイメージなので数字は適当です)。

最後に

 いかがでしたでしょうか。今回のウィルスはどうも目の前の検査や治療に追われている感があり、ウィルスの性質についてはまだ十分な研究がなされていないと言えるかと思います。無論、検査や治療自体は大事なことですが、いつまで自粛すればいいのかを知るための一助としても、ウィルスの疫学的あるいは基礎医学的な解明も合わせて進めて頂きたいと勉三は切に思います。

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posted by 勉三 at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
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