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2019年10月18日

マラソンの札幌開催で露呈した「自ら変われない」日本

東京五輪のマラソン・競歩が札幌開催に

 ども勉三です。東京五輪のマラソン、競歩の開催地が札幌に変更になったことが大きな話題になっていますね。まだ最終確定ではないようですが、IOCのバッハ会長の強い意向と事前の根回しでトップ合意ができていることから考えて、これを覆すことは難しいでしょう。

 さて、今回の変更には賛否両論があるものの、勉三は基本的には全面賛成です。「アスリートファースト」を謳うのであれば、「チケットを購入した人はどうするんだ」とか「整備した費用はどうするんだ」とかは文字通り二の次です。ましてや「東京五輪なのに札幌はおかしい」といった名目的な問題は、本当にどうでもいいとしか言いようがありません。

この決定が日本人から出てこなかったのがヤバい

 それより勉三がむしろヤバいと感じたのは、今回の変更が日本人から出てこなかった点です。当然、我々日本人は真夏の東京の暑さとそれに伴う問題点に関しては、東京五輪決定時から早々に認識していたはずです。にも拘わらず、我々は会場整備やらチケット販売といった形式的な五輪準備に追われ、本質的な議論を全くしてこなかったことになります。

 この問題は五輪だけでなく、他の色々な分野でも見られる日本の弱点ではないでしょうか。勉三は仕事柄、欧米のチームと一緒にプロジェクトを行うことが多いのですが、今回の札幌決定のように日本と欧米の仕事の進め方の違いを感じることが多いです。いくつか代表的なものを紹介したいと思います。

欧米はとにかくトップダウンで物事が進む

 今回のように欧米ではトップが積極的に自ら動き、議論を主導することが多いです。例えば、我々コンサル業界で、日米で共同のグローバルチームを組んだ場合、クライアントとの重要な会議で日本のパートナーと米国のパートナーが両方出席したら(パートナーというのはコンサル業界において役員に相当する職位です)、議論を主導するのはまず米国のパートナーです。

 英語力の問題等もあろうかと思われますが、ビジネスに対する理解、各国とのコネクション、エグゼクティブとの人脈などなど、あらゆる面で日本のパートナーは太刀打ちできません。日本のパートナーも、日本人だけのドメスティック案件では非常に有能な方たちなのですが、グローバル案件になると借りてきた猫のように大人しくなります。

 それは日本では部下が提案や分析し、最終的にトップが判断するというボトムアップ型が普通であるのに対し、欧米ではトップがまず指示を出すというトップダウン型が普通であり、実務力が段違いであるというのに起因していると勉三は考えています。

 今回の森会長とバッハ会長を見ていると、グローバルプロジェクトにおける日本と欧米のパートナーの違いを彷彿とさせ、「あるある」としか思えないのです。

いったんタイムラインを引いたら、その遵守が最優先になってしまう日本

 もう1つの違いはタイムラインや締め切りに対する意識の違いです。世界中の中でも日本人は段取りに時間をかけ、いったん計画を立てた後はその遵守に拘る国民性であることが知られています。いわば「段取り型」の国民です。

 これと比べると、欧米に限らず他の殆どの国は、段取りはほどほどにして、走りながら計画を修正していく傾向にあります。皆さんもこれまでの他国のオリンピックで「開催1年前なのにまだスタジアムが完成していない」といった報道を何度も耳にしたかと思いますが、海外ではあれが普通なのです。日本人みたいに緻密なスケジュールで動いているわけではありません。

 この日本人の国民性は、高い定時性を誇る鉄道や、製造業の品質の高さに寄与しており、決して悪いことではないのですが、時として柔軟性に欠け、現実の変化に応じて計画を修正するのが苦手という面もあります。

 勉三もグローバルプロジェクトでは日本と欧米のタイムラインに対する意識の違いを感じることが多いです。「え?今頃になってそんな根本的な変更をかけるのか?」と日本人なら思うことを、彼らはよくトップダウンで決定してしまいます。

最後に

 いかがでしたでしょうか。勉三は今回の件で、太平洋戦争でなかなか終戦に踏み切れず迷走を続けた戦前の日本を想起してしまいます。あれもボトムダウン的な進め方が基本である日本の欠点が問題だったと思います。政治家も、軍の幹部も、天皇でさえも、敗色濃厚になっても誰も終戦すると決定できなかったのです。

 今回、外国人のバッハ会長が言い出すまで、皆が問題になることを分かっていながら、根本的な手を打たずにマラソンの東京開催で走り続けた日本人の限界を感じてしまいます。

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posted by 勉三 at 22:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
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