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2019年04月02日

令という字に命令以外にも色々な意味がある理由

新元号「令和」に使われた「令」の字の謎に迫る

 ども勉三です。新元号が令和で決まりましたね。さて、この字で話題になっているのが「令という字は命令や指令という意味だから良くない」「いや、令月や令嬢のようないい意味もある」といった議論。

 知識として令という字の色々な意味を知っているのは、もちろんそれ自体は素晴らしいことでしょう。しかし、なぜ令という字が「命令」や「令月」や「令嬢」という少し考えただけでは互いに関係のなさそうな意味で使われるのか、という根本的な問いに対しての答えに踏み込んでいる人は見当たりませんでした。

 そもそも、言葉というのは色々な意味や用法があっても、元を辿れば1つの意味があり、そこから時間とともに意味が拡大解釈あるいは転用されたりして、徐々に色々な意味を帯びていくものです。とすれば、「令」という字はもともとどういう意味があり、それがどのような経緯で様々な意味に使われるようになったのでしょうか。

もともと令の字は命令の意味であった

 まず大前提。令という字は分類上は会意文字と呼ばれ、「頭上に頂く冠の象形」と「ひざまずく人」の2つの象形を組み合わせて作られました。その元々の意味としては「命令する」というところで、私も含め殆どの人の想像通りかと思います。今も昔も令という字の中心的原義は「命令する」という意味で変わりありません。

 ここまでは普通に調べてもすぐ出てきます。ですがここから意味の変遷をきちんと説明している辞書になかなか辿り着きませんでした。多くの辞書を調べましたが、(1) 命令 (2) 命令を下す人から派生して役職名(県令など)(3) 立派だ、縁起がよい (4) 他人の親族への敬称 … ぐらいの情報で止まっているところが殆どです。これだけでは語義の変遷が納得できません。

 (1)と(2)のつながりはよくわかります。(3)と(4)もまあ理解はできます。ですが、(2)と(3)がつながらない。県令のような立派な役職についているので、そこから(3)の意味になったのか?と想像しましたが、令月といった用法にすんなりとつながっていかない。まだこの間にミッシングリンクがあるような気がしました。

令月と令嬢は良い意味でも語義の変遷は異なる

 そこで色々中国語も含めて検索しているうちに、非常に分かりやすい辞書サイトを見つけました。そこで「令」を調べると、なんと語義の変遷が丁寧に載っているではありませんか。

 これによると、どうやら「命令する」を根っことして、(a1) 必須の要求や法規、そこから (a2) 規則性のある、時節の といった意味が派生した枝が1つ。もう1つの枝が (b1) 命令を下せるような官名(県令など)、そこから (b2) 立派な あるいは 尊称 で使われるようになったようです。

 つまり、(a2)に属する用法の令月と、(b2)に属する用法の令嬢では、良い意味という点では共通であっても、派生経路が異なっており、別々の用法であるということが分かりました。

英語で令和はなんと訳す?

 ここまでの議論を踏まえると、英語で何と訳すべきかの参考にもなりそうです。もちろん、BBCのように "Order and Harmony" と訳すのも間違いではありません。出典など気にせず、漢字の原義だけを見るという立場もありでしょう。

 もしくは、"Auspicious Harmony" (Auspicious = 縁起のいい) のように出典における用法を考慮して訳していた海外メディアもありました。これももちろんありでしょう。

 ここに出典にあった(初春)令月という意味の語義の変遷という視点を加えてみましょう。先述の通り、令月は、法令のような規則性のある時節について使われる用法です。そう考えると regular, seasonal などの単語がぱっと思い浮かびます。

 regular の語源を確認すると(出典:みんな大好き Merriam Webster )、元々アングロフレンチ経由で英語に入り、元を辿れば regula というラテン語にいきつき、その意味は rule すなわち「支配」です。そこから規則で決められた通りに規則的に実施される、という意味が派生し、今のように「定期的な」「通常の」といった意味へと派生したそうです。

 なんと! ほとんど「令」と regular は同じような意味の変遷を辿っているではないですか! そういえば発音も似ている? 中国語とラテン語は同一起源だった? というのは冗談ですが、令を訳すなら、regular もありだと思いました。Regular Harmony? あまりしっくりこないって?

まとめ

 今回は元号に初選出された「令」という字を巡る歴史を紐解きました。皆さんもバラバラの意味を覚えるのではなく、語源とそこからの変遷に注目してみてはいかがでしょうか?

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posted by 勉三 at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
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