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2019年03月21日

プログラミング必修化への拒否反応から見えてくる日本のヤバさ

プログラミングやIT教育に否定的な日本

日本ではなぜプログラミングやITのイメージが悪いのか

 はい。どうも勉三です。小学校でのプログラミング教育が必修になるそうですが、これについてネットでは否定的な意見も多く見られます。もちろん、そんなスキルの無い現場の先生がどうやって教えるんだとか、色々解決しなければいけない問題はあろうかと思いますが、21世紀を生きていくにあたってプログラミングが必須の知識であることは疑いようもない事実です。

 現にアメリカの時価総額上位は、FANG(Facebook, Amazon, Netflix, Google)といったIT系企業が多数を占めており、ITは経済発展には欠かせないもので、富をもたらすものです。しかし、日本ではITと聞くと薄給だとかデスマーチといったイメージで語られることが多いのではないでしょうか。プログラミング必修化への嘲笑や批判も、そういった「IT」に対するイメージが根底となっているように思われます。

 今回は、なぜ日本ではITに対するイメージが悪いのかを考察していきたいと思います。なお、最終的にまとめると以下の図のようになりますので先に掲載しておきます。

008.gif

アメリカと日本のITの違いはどこにあるのか?

自社開発と受託開発の違い

 この「IT」へのイメージの違いを理解するには、ITといっても大きく2つあるということをまず知る必要があるかと思います。

 1つは、自社の目的のためにITを利用しているIT企業です。これは、パッケージソフトウェアや自社サービスを販売している企業やゲーム企業などです。自分たちの製品やサービスをIT技術によって提供しているタイプの企業です。もちろん、Facebook, Google, Amazon, Netflix などはみなそうですね。

 もう1つは、他社から委託されて受託開発を行っているIT企業です。巨大なものだと銀行や空港のシステムから、小さいものは企業のウェブサイトだとか、そういったものを受託して開発するIT企業です。システムインテグレーター(SIer)と呼ばれる企業がまさにそうで、日本だとNTTデータ、日立、富士通、NEC などなどを頂点に多数の企業が存在します。

 この「自社」か「受託」かの違いが、富めるITか貧するITかの違いに大きく関連しており、ひいては日米のITの差の大きな要因であると言えるのです。なぜなら日本では圧倒的に受託開発のIT企業が大半で、IT業界に就職すると言うとまっさきにそっちをイメージするからです。

受託は人月商売になり富をもたらしにくい

 IT産業における自社と受託の大きな違いは、作ったものが1回こっきりの利益しかもたらさないか、何倍にも利益が複製されるかの違いです。

 たとえば、有名なソフト(Microsoft Office でもスーパーマリオブラザーズでも何でも構いません)をイメージしてみてください。これらは一度作れば売れば売るほど利益をもたらします。一方で、企業の基幹システムだとかウェブサイトなどは、基本的に受託元へ売るのみで他の会社へ売ることができません。

 これが何を意味するかというと、受託開発は売上・コスト・利益が工数に支配される人月商売であるという点です。言い方を変えれば、これぐらいのシステムを開発するなら、これぐらいの期間と人数が必要で、1人あたりの単価はこれぐらいで、総コストはこれぐらいだよね。だから価格はこれぐらいで、利益はその差額になるよね、といった具合にお値段が決まるということです。

 大ヒットしたら相場以上に儲かるということがなく、単価は厳しくチェックされ買いたたかれるので、基本的に受託開発は薄給になります。また、具体的な作業ほどガンガン下請けに出されるので、実際にプログラムを書く人の給料は元請けの売上に比べてかなり安くなってしまいます。

ITを製品として提供するか、プロトタイプに用いるかの違い

 さて、ここまでITを「自社」と「受託」の切り口から見てきました。実はもう1つ、日本人がITを語る際に忘れがちな切り口があります。それは「製品」か「プロトタイプ」かの違い。

 「製品」というのは、自社開発にしろ受託開発にしろ、開発したソフトウェアやシステムを製品として販売ないしは提供することです。こちらはイメージしやすいかと思います。多くのIT企業はそうですから。

 ですが、もう1つ「プロトタイプ」というITの使い方があります。例えば、今流行りのデータサイエンティストなどはこれに該当するでしょう。働いているのは自動車業界であったり化粧品業界であったりと、IT製品そのものを提供する会社ではないけれども、仕事でIT技術を活用した分析を行い、そのために実際にコードも書いたりする人たちがいます。

 また、大学や企業で研究開発を行っており、そのためにプログラミングをしているという人も昔から存在します。全体で見れば数は少ないですが、多くのプログラミング言語やITテクノロジーは彼らによって生み出されたものであり、その影響力は絶大です。

 最終的に製品開発を行うIT企業であっても、その前段階の仮説検証や MVP (Minimum Viable Product) の開発などはプロトタイプと言えるかと思います。

 日本では、この「プロトタイプ」のためにITを使いプログラミングを行っている人たちがいることが、よく忘れられていることが気になります。例えば、今流行りの Python なんかは、機械学習などのライブラリが豊富で、思いついた仮説をさくっと実装できるためプロトタイピングの用途に非常に向いていることで海外では非常に人気なのですが、日本ではどうしても製品開発にしかITを使わないような固定観念があるので「Python なんかより C/C++ をやるべきだ」などといった意見が主流になりがちです。

IT技術が必要なのは受託開発で製品を作っている人だけではない

 これをまとめたのが冒頭の図になります。切り口として「自社」か「受託」か、それと「製品」か「プロトタイプ」かの2通りずつがあるので、ITで飯を食っている人たちは4パターンに分類できることになります。

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 日本でITが話題になる時は、「受託」かつ「製品」の人達だけがクローズアップされますが、俯瞰してみれば一部にしか過ぎないことが分かるかと思います。確かに人手が必要なので人数比で見れば多いのですが、一番儲からない低付加価値のITだと言えます。

 日本でプログラミング必修化の議論に拒否反応が多いのも、この低付加価値な「受託」かつ「製品」を開発するITのことしかイメージできないからではないでしょうか。プログラミングやITスキルが直接役に立つ仕事はそれだけではないということを理解しないと、なかなか拒否反応は解消されないのかもしれませんね。

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posted by 勉三 at 18:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事
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