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2018年09月08日

就活ルール廃止の議論で忘れられていること

 ども勉三です。経団連がいわゆる就活ルール廃止を示唆する発言をしたとかがニュースになっています。ネット上でも賛否両論が巻き起こっているようですが、この手の議論でとてつもなく違和感を感じるのは、日本における権利意識の希薄さです。

学生の就職に対して大学が口出しをする権利はない

 まず大前提として、就職というのは雇用者と被雇用者の二者間の問題であり権利です。法律の範囲内で双方が合意すればそれでOKなのです。求職者が在学中かそうでないかは全く関係ありません。

 もちろん、経団連などの業界団体が自主的に採用ルールを設けることは構いません。雇用者が自らの権利を縛っているだけの話ですから全く問題ありません。しかし、現在の日本の就活論争でおかしな点は、そこに大学の思惑が絡んでくるからです。

 そこには、「学生が就活ばかりしていて全く勉強しないケースが見られる」といった理由があるのでしょうけど、それは理由になりません。就職というのはあくまで当事者間の問題です。

学生に勉強をさせたければ、就活に介入するのではなく単位を厳しくすればいいだけ

 もし「学生が就活ばかりしていて全く勉強しないケースが見られる」のを大学側が問題視するのであれば、対策は簡単です。そういう学生は卒業できないように単位を厳しくすればいいだけです。雇用者と被雇用者の二者間の問題に介入するより、自らの権利で認められている範囲内でできることをすべきです。

 ではなぜ、そういうことをしないのでしょうか。そこには単位を厳しくしすぎると、受験生からの人気が低下してしまうだとか、大学経営に影響を与えかねないからといった理由が透けて見えます。

青田刈りは全く問題がない

 青田刈りだろうが、それどころか入学直後の1年生の段階で内定を出したって全く構わないわけです。もちろん、卒業までに学生が内定を蹴ってしまうといったリスクも高いでしょう。でもそれはあくまで当事者の責任です。そのことについて大学がコントロールする義務も権利もありません。

 なお、内定の成立は雇用契約の一種と見なされ、企業側からの解約は不可能ではないにしても厳しく制限されています。一方で、入社予定者の内定破棄は退職と同様で14日前までに申し出れば特に制限はありません。日本の労働制度の中では珍しく被雇用者に有利にできているといえます。

 ですので、いわゆる青田刈りによるリスクは企業側が抱えることになるため、立場の弱い学生側が不利な状況に陥ってしまうと言ったリスクもありません。むしろ学生は早期に内定を確保し、しれっと本命の選考を受けていくといった賢い戦略をとればいいのです。

新卒一括採用や企業の採用スタンスへの私怨で本質が見えなくなっている人が多い

 このように極めてシンプルな問題なのですが、「日本の新卒一括採用制度が問題だ」とか「企業はもっと頑張っている学生を採用しろ」とか「学歴採用はやめろ」だとか、就職でうまくいかなかったことをこの問題にせいにしているのでは? と思えるような書き込みが目立ちます。

 はっきり言って、この問題を語るにあたっては、新卒制度だとか企業の選考プロセスや学歴主義などは本当にどうでもいい話です。企業がどこの誰をどうやって取るかは基本的に自由で、あなたが結婚で相手を選ぶのと同じことです。他人が結婚相手を選ぶのを「基準がおかしい」「もっとこうすべきだ」「ほらみろ、そんな選び方だからうまくいかないんだ」と赤の他人が口出ししてもむなしいだけです。

 このブログでも何度も述べていますが、感情に引きずられた議論は本質を見誤ります。あくまで原則論にたって、「就職は誰の問題なのか」というところから考えたほうがいいでしょう。

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posted by 勉三 at 01:22 | Comment(0) | 時事
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