2018年05月27日

コストは高くても企業が派遣や外注に切り替える理由

 ども勉三です。日本企業の間でも、正社員はマネジメントだけをし、実務は派遣や外注に切り替える流れが年々加速してきています。

 派遣というと給与が安いというイメージもあるかもしれませんが、企業が派遣会社に払っている額はその1.5倍〜2倍程度になります。つまり、企業が派遣会社に年間600万円支払ったうち、200〜300万円程度は派遣会社がマージンとして中抜きして、残り300〜400万円を派遣社員に払っているわけなのです。

なぜ企業は派遣会社を使うのか

 であれば企業は、派遣会社を利用するより年収300〜400万円で正社員を雇ったほうが安くつくはずです。無論、正社員にかかる人件費も給与分だけではなく、厚生年金、労務管理費、福利厚生、退職金など給与外の各種支出が必要になるのですが、たとえ額が同じだとしても派遣会社に払うよりは社員に払った方がお互いハッピーになれるはずです。

 そうであるのに、わざわざ派遣会社を使ったり、あるいは業務を外部委託したりするのには理由があります。まず、一番大きい要因として、日本では正社員は非常に解雇しづらいということがあります。つまり、いったん雇ったら、その後ずっと人件費を払い続けないといけないのです。

一括支払いは環境変化のリスクがある

 これを分かりやすく考えるために、新聞の購読契約で考えてみましょう。ある新聞を取るのに通常は月額4000円がかかるとします。これはいつ解約しても構いませんし、違約金などはかからないものとします。

 ここで、この新聞社が購読者を増やすために新しいプランを用意しました。それは「30年一括契約して頂ければ月額2000円に割引します。ただし途中解約しても返金はできません。お客様都合で転居などで配達店を変える場合なども途中解約扱いとなります」というもの。

 もし30年契約し続けるのであれば、明らかにお得なプランです。なにせ半額になるわけですから。しかし、このプランに喜んで入る人がどれだけいるでしょうか? 一括で2000円×12か月×30年=72万円を支払う必要があり、仮に引っ越しなどをすればそこから先は無駄になってしまいます。

 また、その新聞が30年間に渡って今と同じクオリティである保証もありません。技術の進歩もあるし新聞なんて要らなくなる時代になるかもしれません。他紙に変えたくなったり、新聞自体を読まなくなった場合でも、契約をやめることができなくなってしまいます。

正社員で雇うと環境変化に対応しづらくなる

 人件費の問題もこれと同じです。日本では企業は正社員を採用すると、その後何十年にも渡って人件費を支払い続ける必要があります。これは上の新聞の例とは額も比べ物になりません。1人あたり人件費が500万円だとしても、30年雇えば1億5000万になります。企業が正社員を雇うと言うのは1人あたり億単位の投資案件なのです。

 高度成長期のように経済が右肩上がりで成長し続けている時は、これでも問題にはなりませんでした。人を雇っても無駄になることが少なかったからです。しかし、現在のような低成長時代では、景気の波や業界の成長衰退によって、企業は規模を柔軟に変えていく必要があります。

 我々消費者が、割安だからといって一括プランに必ずしも飛びつかないのと同じで、企業も割安だからといって正社員を雇おうとは思わないのです。それより、多少割高であってもすぐに解約できる派遣会社や外注の方が、変化の激しい環境では有利です。これが企業が派遣や外注にどんどん切り替えている理由です。

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posted by 勉三 at 17:44 | Comment(0) | 時事
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