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2018年05月04日

蓮舫は正しかった?スパコンなんて2位どころか100位でもいい

 ども勉三です。かつて蓮舫議員が、民主党(当時)の事業仕分けの際、スパコン開発に対して「2位じゃだめなんですか?」といったことは今でもたまに話題にのぼるぐらい象徴的な出来事でした。この時、多くの人は蓮舫議員を叩きました。いわく「研究は1位を目指す世界」「1位を目指さないと2位にもなれない」などと。

 でも本当にそうなのでしょうか? 私は蓮舫議員のツッコミは非常に本質をついていたと当時から思っています。なお、あらかじめ断っておきますが、彼女や旧民主党の政治的主張に賛同しているだとか、事業仕分けに賛同しているかどうかという話ではありません。政党や人物と切り離して、スパコン開発に対する「2位じゃだめなんですか?」という疑問そのものの妥当性について論じていきたいと思います。

速度を競うスパコン開発はサイエンスではない

 まず、勉三は当時やり玉にあがっていたスパコン開発はサイエンスではないと考えています。まず、サイエンスは速度を競うものではないからです。いかに新規性があるかどうかがサイエンスの目指すところです。スパコンの新しいアーキテクチャなどを開発すればそれはサイエンスでしょう。しかし、現在のスパコンの速度競争はいかに大量のノードをつなげて速度を稼ぐかであり、それだけではサイエンスとは言えません。サイエンスにとっては速度ではなく新規性が関心ごとなのです。

 もちろんスパコン京に工夫がなかったというつもりはありません。沢山のノードをつなげるために、冷却システムを工夫したり、建物を工夫したり、生産体制を工夫したりしていました。それはそれで称賛されるべきことでしょう。しかしながらサイエンスかと言われると疑問符がつきます。

 例えば、青函トンネルや瀬戸大橋のような巨大建造物。京を含めて速度を競っているスパコンを喩えるなら、そういったものに近いと考えています。サイエンスというよりはエンジニアリングの凄さです。青函トンネルや瀬戸大橋を作るのが研究かと言われたら違和感があるでしょう? なので、スパコンの速度競争を科学研究として考えるのはかなり違和感があります。

 もう1つ。勉三がスパコンの速度競争をサイエンスだと思わない理由は、国際的普遍性が無いことにあります。科学というのはある国で発見したものが世界中どこでも通用するからこそ価値があります。ある国の学者が発見した物理法則が別の国では通用しないということはありえません。

 しかしスパコンの速度競争には国籍が常についてまわります。例えば、日本であればスパコン京を使って解析する研究は、速度が同等の海外のスパコンを使ってやるよりも、非常に注目を集めて科研費の申請なども通りやすくなるのです。一方で海外の人達はスパコン京なんか見向きもしない。スパコン京を使うのは日本の大学や企業がほとんど。これっておかしいですよね。サイエンスに「どこの国のスパコンを使ったか」なんて関係がないはずです。

 第一、サイエンスというのは一度一着を取ったら(つまり何かを発見したら)、その業績は間違いが証明されない限り、将来にわたってずっと普遍なわけです。誰かがまた1位を取って記録が塗り替えられるということはありません。常に速度を競いあって世界記録を塗り替えるのは、サイエンスではなくスポーツの世界です。

スパコンの速度競争はビジネスでもない

 誤解しないで頂きたいのですが、勉三は日本の国策としてスパコン開発を支援するのを否定しているわけではないのです。しかし、国策でやるなら明確なメリットがないといけません。既に述べた通り、京はサイエンスとしての価値はありません。ではビジネスとしての価値はどうでしょうか?

 こういうと意外かもしれませんが、実はそこまで速いスパコンって求められていないのです。例えば、研究者にとってはアルゴリズムの新規性が大事なので、スパコンは別にそこまで高速でなくとも構いません。遅すぎても問題ですが、手ごろに使えるレベルでサンプルデータを現実的な時間内で処理できる機種が望ましい。そもそも京みたいなものは高すぎてとても購入できませんからね。

 では一方、よくスパコンの目的として引き合いに出される気象予報や新薬研究などの実務利用はどうでしょうか? しかし京はそういった目的でも使われていません。もちろん気象予報や新薬研究などに使うための基礎研究には使われているでしょう。ただ、京はどこか1つの機関が占有しているのではなく、何十もの大学や企業が時間を分け合って研究目的に使っているに過ぎないのです。これは巨大なホールを建てたけれど、実際は小さな部屋に区切って使っているようなものです。最初から安い貸会議室(廉価なスパコン)でよかったのです。

 なぜこのようなことが起きたのでしょうか? 理由は簡単です。それはスパコンのビジネスにおいて、速度は単なる1つの指標にすぎないからです。これは我々がパソコンを購入する時を考えてみれば分かるでしょう。一番高速なパソコンが一番売れるかというとそうではありません。コストパフォーマンスだとか、サイズだとか、使いやすさとか、そういったことを総合的に判断して決めているはずです。

 スパコンも同じです。スパコンを使う大学や研究所は非常に予算がタイトです。値段を含めて他の条件が全て同じなら速いほうがいいに決まっていますが、現実に売れるのは「超高いけど一番速いマシン」ではなく「そこそこ安くてそこそこ速いマシン」なのです。

 なので、殊更に「1位じゃなきゃだめ」というのはおかしいわけです。ビジネスとして考えるなら別に速度が1位である必要はない。他にもスパコンを論じるいろいろな指標があるのに、速度だけを切り出してそれが全ての価値であるかのように議論していたのには強い違和感を覚えます。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。勉三は「2位じゃなきゃだめなんですか?」というのは、かなり日本のスパコン政策の矛盾点をついた良い質問だったと思っています。勉三も研究者でしたが、こういった一言で本質を突くキレのいい質問を、学生が大学の研究室の研究発表会ですれば、教授から褒められるのは間違いないでしょう(笑)

 それがどうも政治的な話とごちゃまぜになって、ことの本質を見失っている人が多かったのではと勉三は感じています。

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posted by 勉三 at 20:00 | Comment(0) | 時事
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