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2017年12月24日

日本企業に蔓延するボトムアップ信仰の限界

永遠のテーマ:トップダウンかボトムアップか

 ども勉三です。経営には大きく分けてトップダウンとボトムアップの2つのタイプがあると言えます。トップダウンは上司が具体的な指示を出し部下が従うというもの。対してボトムアップは部下が提案し上司が承認するというものです。日本ではボトムアップ型が多いと言われます。とにかく時間をかけて皆の同意を重要視する。対して海外ではトップダウン型が多い。トップがガンガン仕事を引っ張っていくのです。この日本企業に多いボトムアップ型経営への信仰が、どうも機能不全に陥っているのではないかと最近感じています。

 元来、トップダウンかボトムアップかというのはそれだけで優劣をつけられる問題ではありません。それぞれに一長一短があります。例えば、トップダウンでは気づきにくかった現場の声をボトムアップで吸い上げることができることもあるでしょうし、逆にボトムアップでは意思決定に時間がかかるのに対してトップダウンでは早いというメリットがあります。ですので、トップダウンがいいかボトムアップがいいかは、その時々の状況によって決定されるものだと言えます。

ボトムアップは部分最適の追及になってしまう

 トップダウンかボトムアップかで生じる重要な違いとして、全体最適か部分最適かということが挙げられます。つまり、ボトムアップでは各現場ごとの目標だとか効率化が追求されることになるのです。例えば、営業改革の提案が生産部門から出てくる訳がないことを考えれば自明でしょう。ボトムアップでは皆が自部門のことだけを考えて提案することになります。

 これまでの時代は部分最適を追及していれば自然と売上や利益が上がることが多かったかもしれません。しかし、現在押し寄せているデジタル化やグローバル化への適応を考えると、部分最適ではなく全体最適の追及が求められるようになってきています。

 例えば最近話題のアジャイルだとかもそうですが、これまでの機能部門別の組織構造を主体とした経営から、機能部門を越えた部門横断チームによる課題解決を取り入れた経営へのシフトが強く求められるようになってきています。生産部門は生産のことだけ、開発部門は開発のことだけ、営業部門は営業のことだけを考えていれば済むような時代では無くなってきているのです。

 一方で、トップダウンでは経営陣を頂点として発せられる指示により経営が実行されるので、より全体最適を追及しやすいというメリットがあります。

ボトムアップはとにかく遅い

 もう1つ大事な違いとしてスピードがあります。ボトムアップは、現場から提案し、上がそれを承認するというプロセスを経るためどうしても時間がかかります。それも幾重ものレイヤーを経る必要があることが多く、その度に時間がかかることになります。提案に向けた準備から最終的に承認されるまで半年や1年かかるということもザラです。

 これでは現代のビジネスで求められるスピードにはついていくことは難しいでしょう。スタートアップなんかだと着手から1〜2か月で形にしたりするわけですからね。

 それでも承認されればまだマシと言えるかもしれません。提案しても承認が通らなければ、結果的にその間の労力、すなわちお金は無駄になってしまうわけですから。

無理やりボトムアップさせるのはやめよう

 最近多いのが「新規事業を提案してくれ」だとか「AIで何かできることを提案してくれ」という命題が、現場に丸投げされる現象。これは経営者や管理職の職務放棄と言っても過言ではありません。

 間違ってはならないのは、新規事業やAIで何をすべきか考えるのは経営者や各部門の長であり、それを具体的な活動に落とし込んだ後で実行するのが現場の管理職やその部下たちなわけです。

 この手の命題をボトムアップでやらせるのは無理があります。既存の業務プロセスの改善だとかそういう次元を超えているからです。例えばAIであれば、「わが社はこういうことを目指していて、そのためにAIをこう使っていく。そこで我々の部門でどういったことができるか考えて欲しい」といったレベルまでは最低限落とし込んだうえで指示を出さなければならないでしょう。戦術は現場で考えればよいですが、戦略は経営陣が考えるべきことです。戦略を現場に任せるのは権限委譲ではなく職務放棄です。

 ところが上層部はAIなんて全く分からない。もしくは分かったフリをしている。だから戦略まで含めて現場任せにせざるを得ないのが今の日本企業なのです。

日本企業で繰り返される悲しい伝言ゲーム

 戦略を現場任せにした場合に起こりうる悲劇があります。それは、課長「AIでできることを考えて欲しい」→部下「できましたこれでどうでしょう?」→課長「いいね!これで部長に提案しにいこう」→部長「思ってたのと違う」 みたいなプロセス。そして延々とこれが繰り返されるというもの。

 思っていたのと違うのであれば、そもそも最初の指示が足りていないということ。「AIでできること」なんて幅が広すぎますし、個々人で思い描くものが大きく異なるので、もはや指示とはいえません。

 そしてなにより、こんな伝言ゲームみたいなことは時間の無駄ですし、現場のモチベーションも大きく低下します。石ころを積んでそれを崩されるというのを延々とやらされているようなものですからね。日本企業には、トップダウンとまで行かなくともせめて戦略はトップで決めてもらいたいものです。

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posted by 勉三 at 20:00 | Comment(0) | 仕事・キャリア
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