2017年12月10日

天才島田紳助に学ぶ戦略論:紳竜の研究

 ども勉三です。皆さんは「紳竜の研究」というDVDはご存知でしょうか? かつての人気漫才コンビである紳助竜介(島田紳助と松本竜介のコンビ)の漫才などが収録されている作品なのですが、注目すべきは漫才そのものではありません。紳助が、NSC(吉本総合芸能学院)で漫才師を志す生徒たちに向けて「笑いの教科書の作り方」「売れるために一番大事なこと」「M-1の戦い方」などのテーマで語る特別限定授業が収録されているのです。

 その内容が、ビジネスの世界でのマーケティングやキャリアプランニングなどに通じる部分が非常に多いため、単なる漫才のDVDの域を超えて、企業の社員研修やセミナーなどでも一時期はよく教材にされていました。しかし、紳助氏が引退してしまった後は、反社会勢力とつながりのあったとされる人物の話を教材にする訳にもいかないでしょうから、そういった機会も減ってしまったと思われます。とはいえ、紳助氏に対しての好き嫌いはあろうかと思いますが、このDVDで語られている内容の価値は今も変わるものではありません。

 その面白さを知っていただくために、抜粋して紹介したいと思います。

XとYの分析

 自分たちが誰を笑わすんや。どの世代や。どういう漫才を作んのやいうのが、一番初めに必要。じゃあどういう漫才を作んのやって考えた時に、でけへんもんはでけへんねん。みんないるやんか。全員ちゃうねん。笑いのパターン、才能、おもろいと思うもんが。ほんでさっきも言ったように、分析をしたら、色んな笑いがあることがわかる。いろんなオチのパターンがある。自分が面白いって思う中でも2つあるわな。面白いけどでけへんっていうのと、これ俺といっしょやんってやつ。これ俺と一緒やって思ったオチのパターン、喋りのパターンが自分に一番近いのよ。でもその人おるやんか。ほな勝てへんやんか。だからそんなんをいくつか探すのよ。そのパターンを。一人のタレント、漫才師だけと違って。(略)

 ほんでもう1個は勉強や。俺らがやってた20、30年前の漫才ブームがあった。あの頃から全然残ってるわけやん。もっと前から残ってるわ。今から40年ぐらい前のでもレコードとか残ってるやんか。その時に売れてた人、それをずうっと全部聞け。全部聞くだけじゃなくて、どう変わってきたのか、何がちゃうんか、同じなんか。それを徹底的に調べんねん。

 それでいつも言ってるのが、Xというのが自分の戦力。自分に何ができるか。さっきのオチの話の、どんな笑いができんのかっていうことを自分でまず必死で探す。ほんでY。これは世の中の笑いの流れ。笑いはいつも変化してくんねん。時代によって。変わってくんねん。これを研究する。

 だから、XとYが分かったら、そこで初めて悩むんよ。「俺は何しよ」「どうしたらいいんやろ」「どうしたら売れんねんやろ」「どんな笑いを作ろ」って、初めて考えなあかんのよ。でも俺も沢山仲間見てきたけど、このXも分からんとYも分からんと悩んでる人ばっかりやわ。(略)

 この公式を自分らで作らんとあかんのよ。多分自分らM−1、2回戦で落ちたりしてるやんか。何にも分からんと漫才してると思うねん。ただ単に「おもろいこと考えよう」「ネタ合わせしよう」「何か新しいことやろうぜ」「よそがやってへんことしようぜ」。そういうのは絶対ムリ。

 たまたまそれができる事がある。でも絶対潰れんねん。公式が無い答え。学校の勉強と同じやん。たまたま書いた数字が合うことあるやん。それで売れたんと同じで、そこには自分は何の根拠もないわけ。世の中はさっき言うたようにYは動くねんから。動いたYについていけへんねん。だから芸能界におるやんか、一発屋って。まさにそれやねん。なぜ売れたか分からないし、たまたまやねん。たまたま前からやってきてん。同じことを。だから一発屋の方がインパクトあんのよ。Yいうのは動くでしょ。世の中の笑いの変化やから。だから同じことをやってきたやつは、ここでバチャーンと当たってまうねん。ガツーンと出合い頭に起こった事故やからきついわけやん。きついからインパクトあるから売れる。でも必ずすぐ、2,3年したらズレるよな? ほんなら修正きかんのよ。

 でも長くやってる人は、みんな言葉では説明せえへんけど一緒やで。さんまとかも一緒やで。世の中に合わせてんねんのよ。自分を。だから大事故ならへんよ。なかなか。接触事故ばっかり。世の中の動きに。

さんまだって、若手を見て「脅威を感じることはありますか?」って聞いたら、「全く無いよ」って。なんでか言うたら、「アホちゃうか。こいつら」と。なんか練習しとるとこ見て「何練習しとんねん。こいつら」って。俺が見たらずーっと筋トレしてる風にしか見えへんのよ。無駄。(略)

いかがでしょうか? 文字に起こすとライブ感があまり出ないので、良さが完全に伝わらないかもしれませんが、話の面白さは理解して頂けるのではないかと思います。この授業の他の箇所でも紳助氏は「無駄な努力はするな」「努力の前にまず分析して戦略を練れ」ということを繰り返し述べています。これって企業経営でも同じですよね。

 ビジネスでも一番ダメなのは手あたり次第にできることを思いついた順にやってみるというもの。数うちゃ当たるが有効な時もありますが、まずは自社の強み(X)と外部環境(Y)を分析し、どういうXとYを合わせていくか大枠から考えていく方が確実かつ早いです。具体的な打ち手を考えるのはそれから。最後に行うことなのです。

紳助は希代の戦略家だった

 このDVDには他にもタメになる話が満載なのですが、つくづく思うのが、紳助という人物は希代の戦略家だったのだなあということ。戦略というのは、目の前に与えられた課題を努力してこなすことではなく、そもそも何が課題かを見出すことと言えます。勉三がこれまで会ってきた人でも、目の前に与えられた課題をこなすのは得意な人は多いのですが、自ら課題を考えることができる人は非常に少ないというのがあります。企業経営でも個人のキャリア設計でも、まず課題を捉えるところから始めましょう。

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posted by 勉三 at 00:53 | Comment(0) | 書評
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